この間、彼と一緒にテレビを見ていた時のこと。
「○○(私の好きな俳優)のCM見た?」と。
「見てな~い」
「あれ見たらね、俺を思い出すよ」
「?」
珍しいこと言うなって思った。
彼はびっくりするほど記憶力がなくて、覚えていてほしいことさえ忘れることが多いから。
それから数時間後、
「あっ!これ!」と画面を指差す彼。
その俳優は、女性の手にキスをしていた。
私は思わず吹き出して、彼にもたれかかった。
彼の言葉どおり、彼の唇の感触を思い出したからだ。
2005年の夏、ほぼ毎日メールのやりとりをするようになったある雨の夜、私たちは駐車場で待ち合わせをした。
ノースリーブに着替えて彼の車に乗り込んだ私を見て、
「なんかドキドキする~。」って言ってたね。
私だってそうだったよ。
何を話したのかあんまり覚えていないけど、
あなたは急に「ちゅーして。」って言いだした。
私が断ると、「じゃあ手つなご。」といたずらっぽい顔をしてそっと手を握ったんだ。
でもそれでさえ、最初は抵抗していたかもしれない。
たまに手のマッサージをしてくれたりしながら、色んな話をしたね。
それから彼は何度も手にキスをして、にこにこしてた。
私はドキドキしすぎて酸欠みたいになって、もう車から逃げ出したかった。
苦しくて、苦しくて。
それなのに、「今度は口にちゅーしてくれなきゃ帰さない。」とドアをロック。
は?脅迫?!
私は動揺したのと同時に葛藤していた。
これより先に進んでしまったら、唇を重ねてしまったら、そこで踏みとどまれる自信が自分にはなかったから。
それは夫を裏切ってしまうことだと。
そんな困った顔を見ながら、私の指の間に舌を這わせ相変わらずにこにこしていた。
子供みたいにきらきらした目。小憎たらしい。
私はただからかわれてるだけじゃないかしら?
それでも私は彼のことをもっと知りたくてたまらなかった。
気持ちを抑えて、この夜はこれでお別れ。
まだ自分の気持ちを認めたくなかった。
夫との結婚を決めた時、もうこれが最後の恋なんだなって本気で思っていた。
これから先の一生、他の人を好きになることはないと思っていた。
一人の帰り道、唇の感触が残った自分の手が愛しく感じた自分に、その時もうだめだって思ったんだ。
もう恋してたんだ、とっくに。
「○○(私の好きな俳優)のCM見た?」と。
「見てな~い」
「あれ見たらね、俺を思い出すよ」
「?」
珍しいこと言うなって思った。
彼はびっくりするほど記憶力がなくて、覚えていてほしいことさえ忘れることが多いから。
それから数時間後、
「あっ!これ!」と画面を指差す彼。
その俳優は、女性の手にキスをしていた。
私は思わず吹き出して、彼にもたれかかった。
彼の言葉どおり、彼の唇の感触を思い出したからだ。
2005年の夏、ほぼ毎日メールのやりとりをするようになったある雨の夜、私たちは駐車場で待ち合わせをした。
ノースリーブに着替えて彼の車に乗り込んだ私を見て、
「なんかドキドキする~。」って言ってたね。
私だってそうだったよ。
何を話したのかあんまり覚えていないけど、
あなたは急に「ちゅーして。」って言いだした。
私が断ると、「じゃあ手つなご。」といたずらっぽい顔をしてそっと手を握ったんだ。
でもそれでさえ、最初は抵抗していたかもしれない。
たまに手のマッサージをしてくれたりしながら、色んな話をしたね。
それから彼は何度も手にキスをして、にこにこしてた。
私はドキドキしすぎて酸欠みたいになって、もう車から逃げ出したかった。
苦しくて、苦しくて。
それなのに、「今度は口にちゅーしてくれなきゃ帰さない。」とドアをロック。
は?脅迫?!
私は動揺したのと同時に葛藤していた。
これより先に進んでしまったら、唇を重ねてしまったら、そこで踏みとどまれる自信が自分にはなかったから。
それは夫を裏切ってしまうことだと。
そんな困った顔を見ながら、私の指の間に舌を這わせ相変わらずにこにこしていた。
子供みたいにきらきらした目。小憎たらしい。
私はただからかわれてるだけじゃないかしら?
それでも私は彼のことをもっと知りたくてたまらなかった。
気持ちを抑えて、この夜はこれでお別れ。
まだ自分の気持ちを認めたくなかった。
夫との結婚を決めた時、もうこれが最後の恋なんだなって本気で思っていた。
これから先の一生、他の人を好きになることはないと思っていた。
一人の帰り道、唇の感触が残った自分の手が愛しく感じた自分に、その時もうだめだって思ったんだ。
もう恋してたんだ、とっくに。